古代ローマ風のバレンタイン・イベントは男性が壺に入った女性の名札を選ぶパーティーだった。中学一年で同級生だった女子から招待状をもらって参加した男子大学生は女性の名札壺の中に自分の名札を見つけて驚く。想像を絶するパーティーが彼の人生を大きく揺さぶる。その時点で主人公は過去、現在、将来の三回のバレンタインデーによって自分の人生が決定される運命だったとは思いもしなかった。
女性週刊誌の編集部で長期インターンで働く大学生が浅草猟奇殺人事件の潜入調査のため婚活コンシエルジュに登録する。詳細は[女装潜入捜査が絡む小説]の項を参照。
主人公は外資系保険会社の入社2年目の冴えない感じの社員。テレビでお笑いコンビが「三つの願い」というネタをやっているのを見て、もし神さまが自分の前に現れて三つの願いをする機会を与えられたらどんな願いを言うべきかと考える。「長身のイケメンになって、いつも女の子が自分の周りに群がるようになってほしい」という単純な願いを思いついた。ある日、ひょんなことから彼は三つの願いを唱える機会を与えられることになる。
主人公の陽詩(ひなた)は大手総合商社の営業部門に勤務する2年目のサラリーマン。課の日常業務を切り回す一般職社員が出産のため休暇を取ることになり、その穴埋めに関連企業のスタッフサービス会社から30代後半の畑中葉子が派遣される。畑中はシングルマザーで子供を保育所に送り迎えする必要があるため、9時半から4時半という勤務条件で派遣契約している。陽詩は派遣社員の勤怠管理者に任命されて張り切るが、シングルマザーとはどんなものかということを把握していないため、二人の関係は空回りする。畑中が時間通りに勤務できない場合も、陽詩は忍耐強く畑中の仕事を手伝うが、不満が徐々に鬱積し、畑中に対して本来言ってはならない発言をしてしまう。畑中との関係から生じる軋轢により徐々に苦境へと追いやられる主人公を、職場や人事部の人たちが暖かくサポートしてくれる。しかし、会社組織は関係者の個人的な気持ち通りには動かず、主人公はのっぴきならない立場へと追い込まれるのだった。
題名から推察される通り、ある地方都市の市役所で男子職員のスカート着用を推進するプロジェクトがスタートする。主人公は東京の会社を辞めてUターンし市役所に臨時職員として勤め始めるが、そのプロジェクトの担当者に指名されて奮闘する。「スカートの男たち」は日本のどこかの地方都市で明日起きてもおかしくないリアルな長編小説といえる。
浜口直樹は大学の同級生の玲子と結婚を約束し、同じ会社に就職した。直樹は総合職、玲子は結婚後は家事と子育てを優先するため一般職として入社する。しかし玲子は社内試験でトップの成績を取りTOEICは870点、一方の直樹は600点に満たず、開発課では女性の新課長の下で残業続きだった。会社が外資に買収されてアメリカ人女性の新社長が新人事政策を打ち出す。ある日、玲子が総合職に転換され開発課に異動になる。そこまでは良かったのだが、その次に掲示された異動辞令によって直樹と玲子の関係が根本的に変化する。開発課で寿退職する女性の後任として、直樹を一般職に転換するという辞令だったのだ。
女性の地位向上、女性の戦力化は日本の多くの企業での重要課題だが、主人公の勤務する会社では、女性管理職比率を上昇させるために、ある奇策がぶち上げられる。30代前半の小柄で細身の男性が四名指名されて「来年の4月1日付で課長にしてあげよう」と言われる。しかし、それには条件があった。女性の課長として抜擢するという話だったのだ!
玲菜(主人公の男性)はプロモクリエイト社に入社するまでそれが女性が主流の会社とは知らなかった。新入社員60人のうち、玲菜を含む総合職3人、一般職3人が「FPU部門」に配属される。FPUは総員30名で玲菜は「白一点」の存在だと分かった。玲菜は配属されるまではFPU部門長に特別にひいきされていると感じていたが、同期の総合職の二人の女性は名刺を持たせてもらえたのに玲菜だけはもらえなかった。職場の会議でも玲菜は途中で退席させられ、お茶を入れるよう命令される。総合職どうしなのに玲菜だけは特別扱いで、同期社員にコピーやお茶出し、使い走りを指示される毎日が始まった。他部門に配属された同期の男性は玲菜と同様に補助的な仕事しか与えらえない人もいれば、女性と並んで総合職らしい仕事をさせてもらっている人もいることが分かってきた。
大学卒業間近の朝比奈豪太は朝比奈グループの総帥の長男で、高校時代はサッカー部のエース。高校1年の時に同じサッカー部の補欠で同じ大学に進んだ佐藤楓(主人公)の親友だ。主力銀行の頭取が豪太を気に入って娘との見合いを朝比奈社長に申し入れる。その女性はミス福島で1位を逃した長身の美女だったが、豪太のタイプは小柄で可愛い女性であり、まだ結婚するつもりはなかったので、親から見合いを迫られて逃げ回る。それほどの美女との縁談を断るなんて、もしかしたら豪太はゲイなのではないかと疑う両親。豪太が東南アジアに1ヶ月の卒業旅行に行くことを知った両親は、豪太を説得するために上京する。豪太は見合いを断るには、他に好きな人がいることにするのが一番だと考え、婚約者のフリをしてくれる代役を探した。
本郷咲良は23歳の美少年系で国際営業部営業第2課の社員。直属の上司は小芝玲央という元ミス東京で1位を逃したことがある35歳の長身美女で、超一流大学卒、TOEICも920点。最年少課長になるのも近いと噂されているエリートだった。咲良の部下は新入社員の藤丘慶子。帰国子女でちょっと生意気。大学は小芝玲央の後輩で英語はペラペラ、小芝と同身長の美女で、話していても賢いのがミエミエ。咲良は、数年もすれば慶子の方が自分の上司になって自分は慶子に敬語でしゃべる羽目になるのではないかと内心気が気ではなかった。本郷咲良が慶子にこき使われる立場になりそうなことは読者にとっては一目瞭然。OLにされてしまいそうな予感も……。でも、そんな単純な話では終わらない。最後までやきもきさせられる長編エンターテインメント・サスペンス。
新入社員の遠山涼(僕)は同じ課で2年先輩の一般職の恵子から当日の合コンに誘われる。四対四の合コンで相手は社外だが「ひとりドタキャンが出たので代わりに出て欲しい」と言われた。合コン相手の4人は全員女性であり、8人のうちで僕1人が男性とのこと。合コンにはA案とB案があり、今日の合コンはB案とのことだった。「B案とはビーアン、つまりレズビアンの隠語よ」と聞いて驚く。最近、合コン相手の男性の経済レベルが落ちすぎたので、高収入の女性を相手にしたB案の合コンが流行っているらしい。女医、弁護士、公認会計士の女性が来るとのこと。そんな不自然な結婚には興味が無いと断ったが、費用は全額相手持ちと聞いて、まあいいか、と気軽に参加した。「ただより高いものは無い」という言葉があるが、僕が一体どうなるのかは小説を読んでのお楽しみ。
ブラック企業で酷使されて心神喪失に近い状況で放り出され、ついにホームレスになってしまった青年が、北千住駅の階段を空腹でフラフラしながら降りていて、中年紳士と肩がぶつかり階段を転げ落ちる。中年紳士はホームレスの青年に牛丼を食べさせ、風呂で身体を洗わせる。身の上話を聞いて親身になり、就職を世話してやろうと言い出す。大手紳士服チェーンに連れて行かれ就活のためのスーツを買ってくれることになるが、バーゲンの「就活5点セット」はホームレスの青年が予想もしなかった取り合わせのものだった。
日本の企業のLGBT対応を背景にして、どの会社で起きてもおかしくない、性別を越えたカップルの誕生や、それに伴う社員の常識の変化に関する小説。主人公の深澤明日香は国際事業部米州部第2課の男性新入社員で、第1課の岩倉奈帆に淡い憧れを抱いていた。奈帆から実は自分は年上の人からプロポーズを受けたと打ち明けられた日、明日香は奈帆に自分こそは相応しい結婚相手だと名乗り出る決意をした。
入社4年目の航平は会社の抜き打ち検査で勤務中にポケモンをしたのがバレて降格処分になり総務部ハキダメ課でお茶出し・コピーの毎日。辞表を叩きつけて「ポケモンGO私はこれで会社を辞めました」という私小説を電子出版したところ大ヒット。しかし小説を読むと実在の人物が連想され訴訟の危機に!
入社4年目の商社マン佐倉恵斗はニューヨークで駐在員を希望していた。しかし、国内中心の部署に回されて焦りがつのっていた。そんな時、ニューヨークの企業を買収し幹部としての派遣要員を募集中のメーカーから誘いを受けた恵斗は、渡りに船と転職を決意する。この物語の中で恵斗は4度の採用面接を経験する。1度目は採用面接と意識しないままの面接、2度目は採用側の面接官としての面接、3度目は米国企業の社長による面接、そして4度目は究極の採用面接。それらの採用面接のたびに恵斗は絶頂とどん底の間で揺れに揺れるのだった。
勤務先の会社で「WLB(WorkLifeBalance)委員会」が斬新な方針を発表した。「『男性が女性と同様に生活を重視できる環境』を整えることが『女性が男性と同様に仕事で活躍できる環境』以上に重要であり、『男子はこうあるべきだ』という常識を壊さない限り、本質的な改善は不可能だ」WLB委員会の『草食男子育成計画』とは?
卒業を2ヶ月後に控えた大学生の「僕」は友人と2泊3日の温泉旅行に出かける。2月初旬の湯西川温泉は雪に包まれている。夕暮れが迫り、橋の下の無料野天風呂「薬研の湯」に浸かって一人で雪見風呂を楽しんでいると、長身の美女が橋から降りてきて服を脱ぎ始める。僕はその女性の美しさに呆然となる。短い至福の時間が過ぎる。言葉を交わすこともなく、彼女は夕闇の雪の中へと去っていく。幻の美女の強烈な印象が、恋心として昇華しないまま時が過ぎる。サラリーマンになった僕が幻の美女と再会した時、運命の歯車が回り始める。
入社式に臨んだ鈴太郎は微妙な違和感を覚える。就職した会社がユートピアでは無いと気づいたが、新しい環境に慣れその魅力に気づく。それまでの価値観が根底から揺さぶられ、恋に翻弄される主人公を襲う疾風怒濤。
30歳のサラリーマンの二階堂は「取締役にならないか」と勧誘を受ける。社長から詳細説明を聞き、リスクに値するチャンスだと判断し、書類にサインして株主総会の準備が開始される。
同性婚シリーズ第2弾。新入社員の鈴太郎が男性上司からプロポーズされ、3人の男性と元カノの間で翻弄される悲喜劇。
亡き姉の2人の幼い娘と暮らす19歳のファッション・ショップの男性店員パットが主人公。優秀な女性店員が事故で休職となった穴埋めに、女性店員に扮して勤務すれば昇給すると持ち掛けられたパットは、翌日からパトリシアとして働く。